Interview vol.13
高岡早紀×竹下雄真

どれだけ心が豊かで、
幸せのピースで満たされているか。
それが、本当の美しさにつながる。

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高岡早紀(たかおか・さき)1988年デビュー。その後、歌手としても活動し、ドラマ・映画・舞台など数多く出演。 1994年には『忠臣蔵外伝 四谷怪談』でブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞最優秀主 演女優賞などといった多くの賞を受賞。主な出演作にドラマ『大奥〜華の乱〜』『テンペスト』 『タイトロープの女』、映画『カフーを待ちわびて』『劇場版テンペスト 3D』、舞台『蜉蝣峠』『39steps』『阿修羅のごとく』『キフシャム国の冒険』『あかい壁の家』『モンスター』などがある。今年1月よりNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』に出演中。 そして初のライフスタイルブック『高岡早紀 But Beautiful』が宝島社より2月5日発売予定。そして今年から2014年は歌手活動を再開。春にジャズの要素を取り入れたミニアルバムを発売予定。




竹下雄真(以下:竹下):
ウチに初めていらっしゃったのは一昨年ですよね。

高岡早紀(以下:高岡):
2012年の秋からです。当時は40歳目前で、年齢的にどうしても体力は落ちてくるじゃないですか。この先ずっと仕事を健康な体で続けていきたいと思ったら、ある程度の体力維持は必要ですよね。2011年ごろから舞台が増えていて、やっぱりハードなんです。2〜3時間立ち続けて集中力も維持しなきゃいけない。そこで、あれ? ちょっとキツいかな、と思うようになって…。

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竹下:
それ以前からいろいろと、スポーツジムには通われていたんですよね。

高岡:
私、ダメダメ人間で(笑)。20代のころから時々。通い始めるたびに「今度こそちょっと運動しなきゃ!」と張り切るんだけど、続かない。パーソナルで見ていただいても、重い器具を持ち上げたりがダメで…。結局、運動が嫌いなんですよね(笑)。どこのジムに行ってもトレーナーさんは一生懸命対応してくれましたが、それが合わなかったのか、体重が1kgも落ちないんです。

竹下:
それは、さすがに困りますね。

高岡:
確かに体重がものすごく増えていたわけではなかったから、減らすこと自体がもう無理なのかなと諦め気味でした。しかも、そもそも疲れたくないし、重いもの持ちたくないし、食事制限なんて絶対できない。筋肉痛が起きちゃうのも嫌。やっぱりメインは仕事や日常生活なので、それがつらくなっちゃうのは困る。じゃあ翌週は休もう、という感じで…。体の変化も特に見えなかったので、何かしらの成果が見えなかったら、つまらないし。

竹下:
ジムってそれぞれ売りがあるんですよ。特に日本のジムの場合、うちはこのメソッドです、というのを押しつけてしまう傾向が、強い。でも、こういうものしか食べないで下さい、運動は必ずこれぐらいして下さい、と言っても、それはあくまでジム側の事情であって、受ける側のことを考えていないですよね。

高岡:
今は週に一度、担当トレーナーの香織さんにしっかりと見ていただいています。楽しくおしゃべりもしながら(笑)。

竹下:
体幹部のエクササイズを中心に、有酸素運動とストレッチングでトレーニングを組み立てて、効果が上がってきていると聞いています。僕らが目指しているところは、あくまでパーソナルトレーニング。その人のパーソナリティに合わせて、その人に合ったものを提供せねばなりません。それと、その時々のクライアントさんの状況に合わせていくことが大事だと思います。1年後の高岡さんと5年後の高岡さんはきっと違う。もしかしたら重いバーベルを挙げたいこともあるかもしれない(笑)。だから、とにかく話を聞くことが大事です。今、いろいろなジムがありますよね。それがいいとか悪いとかは僕の語ることではないですが、短期間でバーンと痩せさせて、はい、さようなら、というやり方は、僕らが目指すことではないのかな。究極的にいうと、高岡さんはもとから高岡さん。長く女優さんをされている方ですから、何十キロも痩せることはない。激しい食事制限をしたり、めちゃくちゃ重いバーベルを挙げてバンバン走って、という必要はないんです。

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高岡:
その加減がちょうどいいから、1年以上続けられているのかも。

竹下:
体重を一気に落とす方法はいくらでもあるんです。入れるカロリー数と出るカロリー数のバランスをコントロールするだけなんで。でもダイエットのメソッドが、クライアントさんがライフスタイルとして受け入れられるものでなかったら、体ができても結局は維持できません。パーソナリティーやライフスタイルに沿ったものを提供しないと、クライアントさんも嫌になりますよね。

高岡:
私の場合、それほど食生活が乱れているわけではありませんが、お酒も飲むし、やめられない、制限できないことばかり。そんな私でもやっていただけますか? という感じでしたけれど(笑)。

竹下:
体重はかなり変わりましたか。

高岡:
今は最初の出産をしてから体重も一番低いし、太らないですよ。これって歳かな…(笑)。

竹下:
いやいや、そんなことないです(笑)。むしろ、年齢的には一番危険な時期ですよ。

高岡:
体重は出産後に一番太っていた時と比べると、6〜7kg落ちたと思います。でも最初からがくんと落ちたわけではなくて、週に一度のトレーニングを初めて3〜4カ月ぐらいかな。そのころから徐々に、変わってきた実感が生まれてきましたね。全体的にフォルムがきれいになってきた。特に足にしっかり筋肉がついて、キュッと締まって見える。細いだけじゃなく、メリハリがついた。自分で見ても、はっきりとわかるぐらい違いますね。

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竹下:
今はバランスよく体を動かして、食べて、気持ちよく生活を送れている感じですか。

高岡:
そうですね。食べたいものを食べて、お酒を飲みたい時に飲む。そんな普通の生活を、特にこれといったセーブをせずに送れています。やっぱり、我慢することが一番のストレスでしょ。だから、きつい我慢をなるべくしなくて大丈夫なように、適度に自分を保つ。そのためにもトレーニングが大事ですね。

竹下:
舞台や日常生活も含めて、動けているな、という実感はありますか。

高岡:
そうですね。問題なく動けています。以前はたまに腰を少し痛めることがあったんです。腰まわりによけいなお肉が付いているとそれだけ負担になりますが、今は腰の痛みもないし、とても健康的。食べたいものも食べているし、何も無理をしていません。ここに来ることについても無理はしていなくて、どうしてもやらなきゃいけないことがあれば、お休みしています。その分、来れるタイミングでしっかり来て、月4回のトレーニングは欠かさないように心がけています。

竹下:
高岡さんにはきっと、長年仕事をしてきてる中でたぶん無意識にされている習慣がいろいろあるのでしょうね。

高岡:
この仕事をしていくにあたって必要なことは、たくさんあります。例えば映画を見るとか、舞台を見るとか。それも大事ですが、私は体調管理が一番大切だと思っています。常に100%を出せないとダメだし、できることならそれ以上を出したい。そのためには日ごろから、体調をしっかり整えることですよね。

竹下:
その通りだと思います。

高岡:
大事なのは体調を保ち、常に平常心でいること。何かを頑張らなきゃいけない時に力を出すには、人間関係やいろいろな情報に振り回されていたらダメ。身の回りをなるべく煩わしいことにせず、シンプルな状態にしておくことを心がけています。

竹下:
シンプルに生きるって素敵ですよね。トレーニングもそうですが、無理をすると必ず反動が来る。

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高岡:
本当ですよね。したくないけれど、どうしてもしなきゃいけない時ってありますから、その時だけすればいいんですよ。

竹下:
例えば撮影などで、睡眠が不規則になったりはありますよね。

高岡:
たまにですが、あります。私は仕事の合間に現場で少し寝る、ということができない。自分で整えた環境でしか眠れないんです。だから不規則な時も耐えられるようにする意味でも、普段から体調を管理することが大事。そういうきつい状況になっても自分を保てるように、トレーニングをしているわけですから。

竹下:
食べ物の好き嫌いはありますか。

高岡:
ないですね。嫌いなものを探せないぐらい。量はそれほどではありませんが、普通に揚げ物も食べるし。お酒もよく飲みますよ。この前も串揚げのお店にに行って、15本ぐらい食べちゃいました。自分でも驚いたんですが、家族も友達もいて、楽しくていっちゃいましたね(笑)。たまにやっちゃうんですよ。

竹下:
たまに、だからいいんですよね。

高岡:
そう。毎日だとありがたみもないですから(笑)。

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竹下:
ところで高岡さんが考える、美しい女性像とはどのようなものですか。

高岡:
自分でもまだわからない面も多いですが、外見が美しい方はたくさんいると思うんです。もちろん私も外見を磨くことに興味はありますが、それよりも、こうやってトレーニングをしたり、子供達と楽しく遊んだり、心を豊かにしていくことの方が大事。外見が素敵だったりカッコよかったりしても、中身が何もなかったらつまらないし、それがわかった途端にカッコ悪く見えてしまう。大切なのはどれだけ心が豊かで、幸せのピースで満たされているか。それが、美しいことにつながると思うんですよ。だから、外見で言えば無理な若作りをしたくはないし、それはあまりカッコいいことじゃない。服装もそうで、年齢に合ったものを着ている方が素敵ですよね。

竹下:
今後を見すえて、ライフスタイルを含めてどんな将来像をイメージしていらっしゃいますか。

高岡:
女優としては、年齢が上がってきたことで、さらに役柄のバリエーションが増えてきたように思います。若いころとは違った意味で、いろいろな挑戦をしていける自分がいることに気づき、今すごく充実しています。昔は"高岡早紀像"みたいなものがよくも悪くも決められていた部分があり、その枠から外れないように意識していましたが、今はそういうものはない。どこにでも出ていけて楽しいです(笑)。

竹下:
若い時より、今の方が演じる楽しさを感じていると。

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高岡:
そうですね。まだまだ可能性が見えている気がします。今年は大河ドラマが放映中で、春には舞台もあるんです。そこに向けてまた体力作りをしなきゃいけませんね。それと実は、歌手活動を再開するんですよ。ミニアルバムを制作中で、春ごろにはリリースしたいと思っています。そしてプライベートでは、3人の子供達にいろいろと教えられています(笑)。上の男の子二人はだいぶ大きくなりましたが、下の女の子はまだ小さいんです。正直、子育ては男の子の100倍ぐらい面倒だけど(笑)、本当にかわいい。そんな子供達と接していくことで、人間としてもっと大きくなっていけたらと思います。

竹下:
精神的にも身体的にも、そしてご家庭もすごく充実されているのが、見ているだけでわかります。シンプルで無理がない生活を送っていらっしゃって、それが美しさを保つ秘訣になっていることがよくわかります。今後のトレーニングについて、ご要望などはありますか。

高岡:
今の状態を維持しながら、ゆっくりマイペースで続けていきます。どうやら、このまま長く女優を続けていきそうな感じなので(笑)。

竹下:
そうですね。息の長い女優さんになって、80歳ぐらいまで続けていただきたいです。そのためのお手伝いをしていきますので、これからもよろしくお願いします。

高岡:
はい、頑張ります。今後も、心身ともに健やかでい続けたいですね。

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Location: DeportareClubJanuary 2014
Photo: Takeshi IjimaEditor: Naruhiko Maeda