Interview vol.20
岡田武史×竹下雄真

僕が今ここでしていること。それはスポーツという資本が新しい経済を生み出せるか、という大きな実験なんです。

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岡田武史(おかだ・たけし)FC今治/株式会社今治.夢スポーツ代表取締役。元サッカー日本代表監督。1997年に日本代表監督に就任し、チームをフランス・ワールドカップ初出場に導く。その後Jリーグクラブチームの監督を経て2007年、二度目の日本代表監督就任。2010年の南アフリカ・ワールドカップでベスト16に導く。中国の杭州緑城足球倶楽部の監督を経て2014年、FC今治のオーナーに就任。

竹下雄真(以下:竹下):
元サッカー日本代表監督の岡田武史さんは現在、愛媛県のFC今治のオーナーとして、クラブの運営を手がけていらっしゃいます。代表監督を務めた岡田さんがなぜ、この今治という人口20万人に満たない小さな街で、四国社会人リーグに所属するクラブのオーナーとなったのかについて、今回はうかがっていきたいと思います。最初に現在、FC今治で育てていきたいと考えていらっしゃる選手像から、お話を聞かせていただければと。

岡田武史(以下:岡田):
まず、日本のサッカーの問題がどんなところにあるのか、いろいろな面から考えてみたんです。その時に、出発点となった話があります。ある時に、たまたまスペインのある有名なコーチと話していたら、彼がこう言うわけです。「スペインにはサッカー選手のプレーモデルがある。日本にそれはないのか?」と。プレーモデルとはつまり、日本でいう「型」のようなもの。それがスペインのサッカーにはあるのだそうです。これには正直、驚きました。

竹下 :
意外な話ですね。

岡田:
われわれはずっと、サッカーは型にはめてはいけないスポーツだから、コーチングでも指導を極力、質問形式で行うような形をスタンダードとして考えていました。ところが、あれだけ自由奔放にプレーしているスペインに型がある、と聞き、大きな衝撃を受けた。その型についてよく話を聞くと、いわゆる共通認識のような「型にはめる」型ではなく「それを16歳までみっちりとやって、その後は自由にさせる」ということでした。実は昔から、日本の指導方法はどこかおかしいと思っていたんです。子どものころは遊ばせておこうとばかりに自由にプレーをさせる。それが大人になると、いきなりああしろこうしろ言う。これは逆じゃないかと、ずっと思っていた。それで、そのスペインのコーチの話を聞いた時、やっぱり! となったわけです。

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竹下 :
16歳を超えてから、初めて自由を与えてプレーさせるということですね。

岡田:
ただ闇雲に自由を与えられても、そこから本当のすごいプレーが生まれるわけではない。何のルールもない自由から、本当の自由な発想、驚くようなイマジネーションは出てきません。教えられた何かしらの縛りがあり、それを破って、出て行く、かつて日本にあった「守・破・離」。すなわち、最初は師匠の教えをとにかく守り、ある時にそれを破り、離れていく。この部分が必要なんです。日本人は大人になってから「こうやれ」とモノを教えると、そのメソッドにとらわれ過ぎる傾向がある。サッカーでいえば、一番大事な「戦う」ということ忘れ、頭でサッカーをやってしまう。それで戦う気持ちが見えないから「戦え」と言うと、今度はガチャガチャな試合になってしまう。でも、16歳までに型に沿った基本をある程度身につけておけば、その辺でもバランスよくやれるんじゃないかと思います。それともう一つが、型があれば、何かがあって歯車が狂ってしまった時にそれがよりどころになる、ということ。日本人は、すべてがうまくかみ合った時はものすごく強いんですよ。例えば2006年ドイツ・ワールドカップの前に、ドイツ代表と戦った時の日本には「こんなに強いんだ」と驚かされました。

竹下 :
大会直前の親善試合ですね。よく覚えています。

岡田:
ところが本大会になって、歯車が一つ狂うと、その途端ガタガタになってしまった。要は、崩れた時にそれを修正できないのは、「型」、すなわち日本のサッカー選手としての基本プレーという心のよりどころがない、ということも理由だろうと思いました。

竹下 :
ワールドカップのような極限状態で、チームのすべてが上手くかみ合うことなんか、そうそうありませんよね。

岡田:
確かに、それがかみ合った時は素晴らしいんだけど…。それなら、まずは基本となる型のようなものを作り、それを16歳までにしっかりと身につけてもらう。そして、世界で戦える選手を育てる。それが今、FC今治で考えていることです。日本人が世界で戦い勝っていくための型を作る。それがこのクラブの根幹をなす「岡田メソッド」なんです。

竹下 :
主に育成年代に向けたことなんですね。

岡田:
実はそうなんです。とはいえ、岡田メソッドはトップチームの選手にもしっかりと落とし込んでいきますが。トップチームに強くなってもらうことも、非常に重要なので。

竹下 :
若年層の育成については、今後ユースを縮小する一方、今治の少年団や中高に指導者を派遣し、講習会や無料の指導を行っていくと聞きました。

岡田:
そうです。日本にはもともと、学校体育という素晴らしいファシリティと指導者がいるシステムがある。だから、それを生かさない手はない。僕らはこれを「今治モデル」と呼んでいるんだけど、ウチ自体の育成システムは基本的に縮小していく。ただしJリーグに入ったらユースチームは持たないといけないんだけど、それは各高校から選んだ高校1年生だけの選抜チームにして、僕らが週2回ほど練習を見る。それ以外は自分の高校で練習してもらい、週末の試合はウチのチームで出る。そして2年生になったら、高校のチームに戻す。そういった形で、FC今治を頂点としたピラミッドを作っていこうと考えています。

竹下 :
今の若年層の体力については、どうお考えですか。

岡田:
ひ弱ですね。それはトレーニングの仕方というより、根本的な問題です。便利・快適・安全な、われわれが豊かだと思って作った社会は、どんどん子どもたちを弱くする。公園でボール投げるな、蹴るな、走るな。公園の遊具でけが人が出たら、全部の遊具が使えなくなる。それじゃあ、いつ、たくましくなるための遺伝子にスイッチを入れるんだ? と。みんな本来、ご先祖から受け継いだ強い遺伝子を持っている。でもそれに、スイッチを入れるチャンスがほとんど与えられない。僕らのころはずいぶん、外で危険な遊びもしましたからね。

竹下 :
そうですね。昔の子どもは自主的に外でいろいろ遊びながら、時には少し危ない思いをしながら、そうやって強くなる遺伝子にスイッチを入れていったんですね。それを考えると、今の子どもたちが少し気の毒に思えます。

岡田:
FC今治の取り組みも含め、根っこはすべて一緒。根底にあるのは、次世代に生きる子どもたちや若者たちが、夢や希望を持てる社会を実現したい、という思いです。「お前なぜ、サッカークラブがそんなことを言っているんだ?」とよく言われるんだけど、これは僕のすべての根っこにある思いなんです。70年間戦争がない中、高度成長からバブルの時代を生きてきて、自分の子どもたちにどういう社会を残すのか、と思ったら、1000兆円の財政赤字や年金危機、隣国との緊張、そして環境破壊…もう、問題だらけなわけです。一人の父親として、本当にこれでいいのか。「親父、何もしなかったんだな…」じゃダメだ。それが、ここ今治でやろうとしていることすべての原点です。だから、先ほどお話した「型」とは、サッカーに限ったことではない。今は四国社会人リーグにいるFC今治をJリーグに昇格させ、世界で活躍する選手を出す。そしてもちろんこの街の創生も視野に入れ、ここFC今治から、希望を実現するための「型」を作り出していきます。

竹下 :
今の日本のサッカー選手のアドバンテージとディスアドバンテージについては、どのように分析されていますか。

岡田:
『武士は食わねど高楊枝』という言葉があるように、日本人は美学を大切にします。これは素晴らしいことですが、ある一面ではよくない部分です。例えば前回のブラジル・ワールドカップで、真意のほどはともかく「自分たちのサッカーを貫けば、負けても仕方ない」という考えがあったといわれています。こんなことは、ヨーロッパでは絶対に考えられない。向こうでは『腹が減っては戦はできぬ』ですよ。つまり、日本の美学は素晴らしい利点だけれど、見方を変えれば欠点にもなるということ。船で例えると、大きな海流の流れをとらえて進み方を考えていく方がうまくいく。でも航海の途中には、嵐が来て海が荒れることもある。そんな時は帆をたたんで、じっとしなくてはいけない。だけど日本人は嵐が来ようと「俺の進み方はこうなんだ」と航海を続け、転覆してしまう。

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竹下 :
その海流をとらえた進み方、すなわち美学を大切にするメンタリティを上手くハンドリングできれば、ものすごい強みになる。

岡田:
そう。そういった美学は、例えばチームに対するロイヤリティと言い換えることもできる。それがあれば、組織としてはすごく強い。でも一つ間違えると、ディスアドバンテージになってしまう恐れも、あるということです。

竹下 :
フィジカルに優れた選手をいかに作り出し、その選手をどのように生かすか。その点については、どのように考えていらっしゃいますか。

岡田:
僕らはクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)やアリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)のようなすごい選手を作る努力を、確かにしなきゃいけない。でも正直、日本人からそういう選手は簡単に出ない。それならば、どうするか。決定的場面まで行く。あとは点入れるだけ。でも入らない。決定力がない。いったい、何十年同じことを言っているんだと。釜本さんが引退して、もう30年ですよ(笑)。それなのに、まだ同じことを言っている。

竹下 :
新たな釜本さんを輩出する努力はするけれど、そろそろ考えなくてはいけませんね。

岡田:
GKと1対1は、日本人にとってはチャンスではないんです。2対1を作って、初めてチャンス。僕らの発想はそうです。恵まれた身体能力があり、得点の嗅覚に優れた選手がいないなら、他の方法でカバーする。それもまた岡田メソッドの一部分です。でもそれは、フィジカルをもう鍛えなくていい、ということでは決してない。個をある程度対等まで引き上げ、それに組織力を上乗せする、という発想だと思いました。

竹下 :
僕たちもいろいろな競技のアスリートと接していますが、今、岡田さんがおっしゃったように、第二の釜本さんを出したいと日々考えています。でも正直、今のJリーガーを見ていると、だいぶ手前に壁を置いている印象があります。僕が思うのは、自分を他の競技のアスリートと比較して考えてほしいということ。スピードは短距離選手と比べてどうなのか、切り返しはテニス選手と比べてどうなのか、当たりの強さはラグビー選手と比べてどうなのか。そこを意識して、いちアスリートとして優れた選手になることを考えるべきだと思っています。

岡田:
まずは一人のアスリートとして優れたフィジカルを持った上で、そこからテクニックを発揮していく、と。

竹下 :
日本のサッカー選手のフィジカルレベルでモノを考えるのではなく、他の競技の世界的なアスリートと比べてもひけを取らないレベルを目指すべきではないかと。自分の競技はサッカーだから、これぐらいのフィジカルでいいだろう。そういう考えでは、本当の意味で優れた「個」は出てこない。

岡田:
そこは、本当に難しいね。例えば今まで、ウエイトトレーニングをたくさんやったことで体重が増え、関節の可動域も狭くなったのか、その結果、プレーが上手くかみ合わなくなり、落ちていった選手をたくさん見てきたから。

竹下 :
そこは単純に、ウエイトトレーニングをしたかしなかったか、という問題だけではないと思いますし、トレーニング方法にも問題があったかもしれません。確かに、体質やプレースタイルによって、筋肉量を上げてパワーをつけても、それを生かせる人と生かせない人がいます。闇雲にパワーをつけて体を大きくしろ、ということでは決してなく、体重を落としたほうがキレが上がり、パフォーマンスが上がる選手もいるのも確か。これは長年やってきた経験と感覚からくるのですが「この選手は何kgぐらいまでなら、増やしても大丈夫だな」とか「これ以上体重が増えると、動きが鈍くなるかもな」というポイントがある。そこのやっぱり見定めはすごく繊細で、難しい。でも、そこが僕らの仕事です。優れたトレーナーならば、何kgまでなら増減していいのか必ずわかる。基本的にはプラスマイナス5%ぐらいでしょう。この範囲なら、仮に合わなくてもすぐ元に戻せますから。

竹下 :
岡田さんに今回お聞きしたかったのが、組織作りについてです。例えば2010年の南アフリカ・ワールドカップの時のチームは、なぜ予選リーグ突破、ベスト16という目標を成し遂げることができたのでしょう。

岡田:
決して僕がそろえたわけではないけれど、最終的にさまざまな条件がそろい、チームが一種の「ゾーン」に入った。そんな状態だった気がします。僕が思う最強の組織は「生物的組織」です。そう思ったのは『生物と無生物のあいだ』という本を書いた生物学者の福岡伸一さんと仲がよくて、食事をしながらこんな話をしたことがきっかけです。「岡田さんの体は、昨日と今日とで違うんですよ」と言われ「もちろん、そんなことはわかるよ。新陳代謝ぐらい誰でも知ってるわい」と返した。すると「いやそうじゃなくて、ご存じですか。岡田さんの体の中で古い細胞が死んで新しい細胞が入り、でも、見た目は同じ岡田さんを作っているのだけれど、それについて脳は細胞に、こういう役割を果たせ、という命令は何も発していないんですよ」と言われ「えっ!?」って。

竹下 :
なるほど…。

岡田:
「脳が命令せず、どうしてそうなるんだよ?」と聞いたら「細胞が自分で隣の細胞と折り合いをなして、まったく同じ形を作っていくんです」と…。驚いていろいろと質問をしたのですが、要は、脳が監督だとしたら、監督がいちいち命令しなくても選手同士が折り合いをなしてやっていく、ということなのだそうです。僕は、これが最強の組織だと思います。例えば、社長と社員でモチベーションはぜんぜん違う。社長は自分で考え、自分でリスクを負っている。でも、社員は言われたことしかしない。じゃあ例えば、社員に自分で考えてリスクを冒させたらどうなるだろう。例えばカルロス・ゴーンさんの活躍で日産自動車の業績がV字回復した時、プランを立てさせたのは課長クラスだったそうです。

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竹下 :
トップダウンでプランを作ったわけではないのですね。確かに、作ったら自分でやらないといけなくなり、責任感が増します。

岡田:
educationという言葉の語源は、ラテン語で「引き出す」という意味なのだそうです。教育とは空のコップに何かを入れるようなことではなく、気づかせて、持っているものを引き出すことだと、選手を指導するうちにわかってきた。

竹下 :
おわかりになったのは、いつごろのことだったのですか。

岡田:
それが、2度目に代表の監督になった時。それまでは、確かに勝たせることはできるけれど、本当に選手を育てているのか? という強い自己嫌悪があったんですよ。

竹下 :
すごく強かったマリノスの監督時代にも、その気持ちがあったと。

岡田:
そう。理屈で説明して理解させて、確率論で行くから、勝つ確率は高い。例えば、空いているなら相手ゴールに向かい、一直線に真ん中を攻めていくのがいい。でも、相手もそれをわかっているから、真ん中を固めてくる。だから、真ん中でボールを受けた選手に、ベンチから「外へ出し、外から攻めろ」と言う。選手は最初のうち「うるせえなこの野郎」と思いつつも、仕方なく外へ出す。すると勝つ。そうしたら、どうなるか。選手がボール持った瞬間、一番大事な真ん中を見もせずに、ロボットのように無条件で外に出すようになったんです。それでも、結果はそこそこ残る。

竹下 :
選手は「監督の言うとおりやったら、結果は出るんだな」となるわけですね。

岡田:
そう。でも僕は、それが苦しくて仕方なかった。マリノス1年目にそのやり方で優勝し、2年目はもうやらないぞ、と思ったら。開幕3連敗。仕方なく元に戻したら、また優勝しちゃった。そこで、3年目はもう絶対にやらないと決め、お前ら自分で考えろ、と突き放して考えさせたら、中位止まり。そして4年目で、家庭の事情などもあって途中退任した。そのため、あの時に上手くいっていたら…という悔しい思いが、ずっとあったんです。

竹下 :
そうなんですね。それはまったく知りませんでした。

岡田:
ですから、そういう生物的組織を作ろうと、二度目の代表監督の時もずっと思っていました。それで、あのワールドカップの時はいろいろな条件が重なり、組織が上手く機能した。大会前の試合で結構負けて、選手たちが開き直ったような状況になったり、いろいろといい条件が重なったんだけど、その前に、選手が自主的に動くよう仕向けていなかったら、上手くいかなかっただろうと思います。そのために川口能活という、大ケガをしてJリーグで1試合も出ていないGKをあえて選び、選手だけでミーティングをしろ、と言ったんです。すごい激論になったそうですが、ミーティングから戻った川口に「どうだった?」と聞くと「はい、まあ、適当にいろいろ意見出ましたよ」と…。あいつ、僕に言わないんですよ(笑)。その時のことは大会が終わるまでぜんぜん知らず、後で聞いて驚きました。

竹下 :
そういう生物的組織の中でのリーダー、その当時の代表でいうと岡田監督の役割とは、どのようなものですか。

岡田:
まずはビジョンを示すことですが、それ以上に大事なのは、必死になって山を登る、私利私欲のない姿を見せること。人間は決して、素晴らしい聖人君主についてくるわけじゃない。坂本龍馬はリーダーになろうなんて、別に思っていなかった。ただ、この国を何とかしなきゃと命を賭けたら、みんながついてきたということでしょう。ただし残念ながら、僕の場合、その山が低かった。自分の選手とその家族、俺の家族。それを笑顔にしてやりたいという思いだけで、サポーターのことは正直考えられなかった。「岡ちゃん不合格」なんて横断幕を張られると「バカ野郎! この野郎!」となって、こいつらを喜ばしてやろう、とは思えなかった。もし僕がそう思えるぐらい高い山に登っていたら、もっと勝っていたかもしれない、とは正直、思います。

竹下 :
非常に参考になります。リーダーは、腹のくくり方が大事なんですね。

岡田:
そりゃ僕も、いい人だと思われたいし、好かれたい。でもワールドカップに連れて行けるのは23人だけ。ピッチに立たせられるのは11人だけ。それは仕方ない。だから、選手にははっきり言いますよ。「俺は日本代表の監督として、全責任を負ってこう考え、こういうサッカーをする。そしてお前は能力があると思うから、ここへ呼んでいる。やってくれたらうれしい」と。選手はいろいろ言ってきますが、それに対して怒ることはありません。「どうしても納得できないなら仕方ない、残念だけど出て行ってくれ、お前が選んでくれ。」というスタンスを、どんな中心選手が相手でも崩さない。すると口で言わなくても、向こうはこっちが腹をくくっていることを理解するんです。だからよく「あのややこしい選手をどう扱うんですか」なんて聞かれるんだけど、僕は何も扱っていない。ただ腹をくくっているだけ。だからあの気の強い闘莉王も、僕には決して逆らわない。

竹下 :
お話をうかがって、岡田さんが今までやってこられたことと、これからFC今治でやろうとしていらっしゃることは、本質的にまったく同じなのだとわかりました。

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岡田:
組織作りとしては当然一緒だし、この今治という組織を、そういった生物的組織にできるのか。それは非常に大きなチャレンジです。そしてその先で、この社会を何か少しでも変えて行けたらと。みんなが「資本主義が行き詰まる」と言うけれど、どういう社会が来るかはわからない中、僕はここで、スポーツや僕自身の存在といった「目に見えない資本」を生かし、経済を回すことができるか。新しい経済を生むことができるか。僕はそんな実験をしているつもりです。だから今、BSもPLもぜんぜん読めなかったけれど、必死でやっていますよ(笑)。

竹下 :
これからも岡田さん並びにFC今治のことを、陰ながら応援していきたいと思います。今日は本当にどうもありがとうございました。

Location: FC今治オフィスSeptember 2015
Photo: Yoshiki HaseEditor: Naruhiko Maeda (Office221)